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瑠璃色
第4章 最低な男
「よし、行こう!」
淵上に、またな!って右手を挙げると、私に向かって
声を掛ける直人さん。
これ、マズいでしょ…
「あの…直人さん、今日はやめときましょうか…」
「はっ?何で?」
「イヤッ、その…やっぱり、彼女さんに悪いので…
二人でってのは、よくないと思います。だから…」
「彼女って誰だよ?俺、前にも言ったと思うけど?
お前が言ってる彼女って、どこにいんの?逆に連れて
来いよ!」
「あっ、イヤッ…その…」
「俺と二人で行くのがそんなに嫌なら、正直に言えば
いいのに…何か、悪かったな…もう、俺から誘ったり
しねーから安心しろ!じゃーな!」
「あっ、いえ…だって、この前…」
「はっ?この前?…いつの事?」
「……」
「俺、何かしたっけ?」
「あの…本部の…」
「本部?…あー前田?前田の事か? ハハハッ…
あいつね、同期!秀とお前と同じ、俺と前田は同期
で、一緒に来てた中川さんは、杉本さんと同期!
もっと言えば、中川さんと前田は付き合ってる…恋人
だよ!三年かな…もう結婚すんじゃねーの?
この前こっち来た時、こそっと耳打ちすんだよ…プロ
ポーズされたって。俺もスッゲー嬉しかったよ!
ハッ…お前、まさか俺の彼女だと思ってたの?」
「コクンッ…」
「ハハハッ…とんだ勘違いだよ。てかさ、もしかして…
あいつに悪いと思って今までの誘い断ってたのか?」
「まぁ、一応…ですね…」
クシャクシャクシャ…
「ちょっ…直人さん髪クシャクシャするのやめてくだ
さい!もうっ」
「お前って…本当、優しいのなっ!そこにはいない
見えない奴の事、考えてやって…」
「悲しい思いをする人がいるのは…やっぱり、辛い
です…ギュッ…」
「川崎…?」