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瑠璃色
第10章 愛の救世主
ふと、昔の事を思い出した…
彩の事だけを想い、頑張っていた俺の耳に入ってきた
言葉。
あの日、彩のお母さんと、お袋の何気ない会話が、俺
の思考回路をストップさせた。
あの時の俺は、自分の存在全てが無くなった気がした
んだったよな…
「確か・・・あの時、ネクタイをしている直人さんを
見て、あの女、超喜んでたんです…川崎の横で。
あの女の事だから、ネクタイの事、都合よく言ってた
んじゃないんですかね?
あいつ、その後俺に、笑いながら言ってました。
やっぱりみんな、あの女みたいに綺麗で可愛い子が
いいんだねって・・・
自分は、全然女らしくないって。
男に産まれてきたかったって。
男に産まれてたら・・・
もっと、強くなれたかなって。
だけど、だけど俺には・・・
笑って言うあいつが、泣いてるように見えました。
直人さん・・・
あいつ、何か悪い事しましたかね?
何で、あいつばっかり辛い目に遭うんですかね?
いつも、一人で抱え込んで、ここまでずっと一人で
頑張ってきて・・・
もう、マジで俺が泣きそうですよ・・・」