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リップ・エレクト【完結】
第1章 女上司はタラコ唇~~💖
「ざっくり言えば、試供品のモニターを使って全国キャンペーンってことになります。ですが、肝は全社が仕切る一本発信ではなく、6つの支社それぞれが支社HPをメイン媒体にして各当地のモニターを募集・採用し、各支社の独自性を押し出した上での”連動”一斉キャンペーンって切り口です」


「…じゃあ、まずは本社で一本化して各支社へは一律起動させるんじゃなく、極端な話、モニターの公募から活動まで各支社単位での個別起動ね?」


「はい!そこで、このマーケティングキャンペーンの最大ポイントはキャッチ&ビジュアルに据えています。…これは全支社統一で支社単位からスライド発信させる訳ですが…」


「用意できてるのね?キャッチなり発信するビジュアルイメージは…」


「もちろんです。レジェンヌのキャッチコピーは今、そっちのラインに流します」


数十秒後…。
トシヤの目の前で、アキはラインで届いたそのキャッチをスマホで確認すると、思わず唸った…。


***


「うーん…、これは…!」


≪”厚手”のあなたをステキに塗る…!≫


「ちょっと、説明が必要ですよね。なら、中原課長、…ここでレジェンヌを唇に塗ってくれますか?”ある瞬間”をスマホで撮って、それでビジュアル面と一緒に補足しますので…」


「わかったわ…」


「一応、下唇を塗り終わったところのショットになりますので…」


アキはバッグからレジェンヌの試供品スティックを取り出し、唇に当てた。
そしてアキが手鏡に映し、下唇の最終塗りが終わる直前、スマホ片手にトシヤはこうオーダーした。


「…はい、ここで一旦ストップです!ええと…、まずリップをつまんでる右手、もう少し上に立ててくれますか。…はい、そうです。で…、リップの先端が下唇の右端に、ほぼくっつくくらいまで近づけてください」


「こうかしら…」


アキは即興のカメラマンに化けた部下の注文に従って、指示通りのポーズをとった。


「はい!ここで撮ります。近くまで寄りますからね」


女上司アキも即興のモデルと化し、無言で小さく頷いた。


”カシャ…!”


”撮影”は無事終了した…。


”何とエロいんだ!たまらん…”


”カシャ”後、10秒後…、すでに風間トシヤは、”カメラマン”からむっちりボディーの女上司にムラムラ気味の下心と格闘する市井のオトコに変じていた。
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