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Gemini
第2章 キスの味
ノアに腕をぐっと引き寄せられて、唇が近づいてくる。驚きながらも私はなんとか顔を背けた。

「ちょっ、だからっ、こんなとこじゃ…」

思ったよりも大きな声が出てしまって自分でも驚く。

「こんなところ?」
周りを一瞬見渡したあと、全くめげずにこんなことを聞いてくるノア。
「どんなところならいい?」

聞こえないふりをしてマンションに入る。遅れてきたノアにオートロックの鍵を開けようとする手を包まれた。

「うち来る?」
背中を向けたまま首を横に振る。またルカのあんなのに出くわしたら、心臓がもたないもん。

「カナデの部屋は?試験勉強しようよ。」
一瞬動きが止まっちゃう。

「試験勉強…?」

意外なことばに、つい振り返ってしまったけど、そこにはイタズラな顔で笑うノアがいた。

「だけじゃないけど」

またカァっと顔が熱くなってしまう。一々からかわれてることばに反応してしまう自分が嫌になる…。

「もぉ!」

「帰ったらカナデの家に行くね?」

「ダメだよ、勉強しなきゃいけないから」

「分かってるよ」
エレベーターに乗り込むと扉が閉まった瞬間に唇を塞がれる。チュッなんていう軽いキスじゃなくて、ノアの舌が私の口の中で動き回る。

息が続かなくなってノアの肩を押したけど、離れてくれないからノアの唇に息を吐き出してしまった。

「は……ぅん…」
同時に私の降りる階に着いた。ぽーっとした頭のままエレベーターを降りると、ノアはスッと体を離してケロッとした顔してた。

「あとでね」

美しい笑顔で微笑んでるけど、やってることは意地悪。きっと経験値の少ない私をからかうのが面白いんだろうな…。

でも…ノアとキスするのが待ち遠しくなってる自分もいる。もちろんドキドキしちゃってる。
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