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Gemini
第10章 20cm
「まじ?!やべ、練習しとく」
かわいい笑顔を向けられて、私まで嬉しくなった。

話の流れで、和樹と行く予定だった来月の花火大会に4人で行くことになり、ますます夏休みが楽しみになってくる。


「じゃあ、明後日」
和樹の美容院に行く約束をして別れたのは、もう夕焼けの時間だった。


一緒にお昼を食べることにしたけど、今度はふたりだけ。何を食べに行くかは、和樹に任せることになってる。少し緊張するけど、でも楽しみが勝つ。

お金はいらないって言ってたから、代わりに何か持っていった方がいいかな。


その夜ママに相談したら、また冷やかされつつもアドバイスを貰った。
ケーキを買っていくか、私の数少ないレパートリーの中から何か作っていくか…。前の日に作って置けるということで、マドレーヌを焼くことにした。
もちろんずっとママに冷やかされながら。



学校の最寄りの駅に迎えに来た和樹に話しかけるのに、ちょっぴり勇気がいった。かっこいい私服に明るい髪色、到底うちの学校の生徒とは繋がらなさそうな見た目だったから。
毎回打ち解ける時間必要な私たちだけど、それも少しずつ短くなってきてる…かな。

和樹が連れていってくれた洋食屋さんでオムライスを食べる頃には、前に撮った画像を見せ合いっこしながら自然に笑えていた。


美容院が近づいてくるにつれて、ふたりとも緊張して口数が少なくなってきた。

ヒロはからかうように言ってたけど、すごくおしゃれでかわいらしいお店だった。黄色いドアを開けると、壁に大きな一枚の鏡が貼られていて、その前に革張りの茶色い席が3つ並んでいた。

「いらっしゃい」

和樹と同じくらいの明るい髪を無造作にまとめた、和樹のお母さんがとてもにこやかに出迎えてくれた。
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