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Gemini
第10章 20cm
「当たり前だろ?よかったらまた…!」
くるんと回った椅子から立ち上がろうとしたとき、すこしよろけて和樹に支えられた。
「ごめん…ありがと」
和樹の腕から手を離そうとしたけど、その上から手を握られた。
強い力。
ドッドッドッと心臓の音が早くなる。
俯いたままの私に、和樹がのぞき込むように顔を近づけようとした。
(キス…するつもり…なの?)
あとは和樹に任せようと目を閉じかけたとき、お店のドアが開いて、新しいお客さんが入ってきた。
「あらカズくん、今から平気かしら?」
「いらっしゃい。ちょっと待ってて。」
あっさり手を離して、レジのカウンターで何かを調べてる。
「大丈夫。すぐ呼んできます。」
立ち尽くす私をよそに、和樹はお母さんを呼びに行ってしまった。
先に戻ってきたのはお母さんだった。
「いらっしゃいませ。どうぞこちらに。」
空いた席に案内してから、私に話しかけてくれた。
「うん、なかなか上手くできてるじゃない?」
「あ、はい。」
「ちょっと時間かけすぎだけどね。懲りずにまた来てくれる?」
「いいんですか?」
「もちろん!ゆっくりお話できなくてごめんなさいね。あ!マドレーヌ、美味しかった!」
「よかった!ありがとうございます」
「じゃ、またね」
お客さんと話し始めたお母さん。明るくて元気で、ママと似てる。
やっと奥から戻ってきた和樹は、Tシャツとジーンズに着替えていた。預けてたバッグを手に取ると、ぶっきらぼうに「行こう」と言って店の外に出ていった。
「奏ちゃん、またねー!」
「お邪魔しましたっ」
お辞儀をしてから、和樹の後を追って外へ出る。
ギラギラな太陽の下、ふたり並んで歩き出した。
くるんと回った椅子から立ち上がろうとしたとき、すこしよろけて和樹に支えられた。
「ごめん…ありがと」
和樹の腕から手を離そうとしたけど、その上から手を握られた。
強い力。
ドッドッドッと心臓の音が早くなる。
俯いたままの私に、和樹がのぞき込むように顔を近づけようとした。
(キス…するつもり…なの?)
あとは和樹に任せようと目を閉じかけたとき、お店のドアが開いて、新しいお客さんが入ってきた。
「あらカズくん、今から平気かしら?」
「いらっしゃい。ちょっと待ってて。」
あっさり手を離して、レジのカウンターで何かを調べてる。
「大丈夫。すぐ呼んできます。」
立ち尽くす私をよそに、和樹はお母さんを呼びに行ってしまった。
先に戻ってきたのはお母さんだった。
「いらっしゃいませ。どうぞこちらに。」
空いた席に案内してから、私に話しかけてくれた。
「うん、なかなか上手くできてるじゃない?」
「あ、はい。」
「ちょっと時間かけすぎだけどね。懲りずにまた来てくれる?」
「いいんですか?」
「もちろん!ゆっくりお話できなくてごめんなさいね。あ!マドレーヌ、美味しかった!」
「よかった!ありがとうございます」
「じゃ、またね」
お客さんと話し始めたお母さん。明るくて元気で、ママと似てる。
やっと奥から戻ってきた和樹は、Tシャツとジーンズに着替えていた。預けてたバッグを手に取ると、ぶっきらぼうに「行こう」と言って店の外に出ていった。
「奏ちゃん、またねー!」
「お邪魔しましたっ」
お辞儀をしてから、和樹の後を追って外へ出る。
ギラギラな太陽の下、ふたり並んで歩き出した。