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Gemini
第12章 夏が始まる
「凛、髪はどうする?」

「纏める感じ…かな。ま、適当に。」
そう言いながら捻った髪を大きなクリップで留めた。それだけで様になるのは、さすが美少女って感じ。

「やっぱ、髪切らなきゃよかったかな…」
せめて長さがあれば大人っぽくまとめ髪もできたのに。

「奏には完璧な武器があるじゃんっ!」
ツンというよりは、ブニッと胸をつつかれた。

「こうやって…ここをこう寄せて…浴衣の…」
私の胸を持ち上げて谷間を見せるようにアドバイスしてくる凛。

「そういうことじゃないんだってば!」



(本当に胸、大きくなってるのかな…)

ふたりにいろいろとされたおかげで、少し間があくと何となく寂しいような物足りないような気になってしまう自分に気づき始めていた。


凛と別れてからも、電車の中で髪型を検索する。
これなら出来そうというものにブックマークをつけて、電車を降りる。

改札を出ようとしたところで声をかけられた。

「カナちゃん?」
ユウキさんだった。
「あれ、なんか、雰囲気変わった?」

「あ!こんにちは」

「今日は寄ってく?」

「ううん、今日は帰ってやることあるから」

「そっか。じゃ、そこまで、一緒に帰ろうか」
並んで商店街を歩く。

「ちょっと見ない間に随分大人っぽくなったね」

「そんなこと…変わんないです」

「彼氏出来た?」

「ないない」

「じゃあ、あれは誰だったの?見かけたんだよなぁ、イケメンと歩いてるの」

(誰だろう…ルカ?ノア?まさか和樹?)

「友達かイトコですよ、それ」

「なーんてね、ちょっとカマかけただけ。そっかそっか、友達かイトコね。」
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