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Gemini
第12章 夏が始まる
「夏はね、開放的になっちゃうからね。あまりハメを外し過ぎないようにね。」

「ユウキさん、先生みたい」

「そりゃそうだよ、人生の先輩、師匠みたいなもんだからね。」

「あははは、師匠!お願いします。」

「うむ。そなたの悩みを打ち明けよ」

その言葉を聞いて、私の中にある大きな悩みがふと思い浮かんだ。

(いや、でも。こんなことは…)

「何?悩みあるの?いいよ、秘密厳守するよ」

ユウキさんは自販機の前で立ち止まって、コーヒーを買うと私の分もお金を入れてくれた。

「ごちそうになりまーす」
遠慮なく炭酸のジュースのボタンを押す。

商店街からちょっと脇道に入ったところにある歯医者さんの駐車場で立ち止まった。

「なんでも聞くよ。女子高生のお悩み相談室」

「笑わない?」

「笑わないし、ちゃかさないよ」

「誰にも言わないでくれる?」
(言うっていったって、誰も共通の知り合いなんていないのに)

「言わないよ。死ぬまで言わない。」
キッと真面目な顔に切り替わった。

「…………」
いざ口に出そうとすると、なんて説明したらいいのか考えてしまう。

でもユウキさんは黙ったまま私の言葉を待ってくれていた。

「………っとさ」

「ん。」

「なんか…その…」

「うん」

「いろいろされてて」

「……」

「されてるときに」
口の中に炭酸を含んで、ゴクンと飲み込んだ。

「体の中からなんか…水分的な?なんか出ちゃうのって、普通のことなの?」


しばしの沈黙…


「……ん?」
クイッとユウキさんが、私の方に顔を向けた。
「それって、もしかしてセックスの話?」

真顔でそんなワードを言われて、思わずユウキさんの胸を叩いてしまった。
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