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Gemini
第14章 期待する体
ノアが手を伸ばしながら私に一歩近づいたところで、ノックされたドアの向こうからルカの声がした。

「行くぞー」
「はーい!」

バッグを持ってドアに向かった私は、腕を掴まれて、突然に唇を奪われた。乱暴なくらいのキス。唇の外まで唾液で濡れてしまう。

「カナデー?」
ルカの存在をすぐそこに感じながら、ノアのキスに身を任せてしまう。拒む力なんて、はじめの一秒で消えていた。

生々しい唾液の音がドアの向こうにまで聞こえてしまわないかと心配になるほど、ノアの舌は激しく動いた。

「んっ…っく………はぁ…はぁ…」
何とか手をつっぱってノアから上半身を離した。

「もぉっ!」そう言ってノアに文句を言おうと顔を上げると、キレイな瞳が私を見て妖しく光っていた。

微笑むノアの指先に顎を固定され、顔を傾けたノアが近づいてくる…

(私は…)

(文句を…)

口を緩く開いた。
ノアの舌を受け入れる、そのために。



ドアを開けてから、ルカの顔をまともに見ることが出来なかった。



初めから、ふたりに交互に熱くされながら始まった。
ドキドキさせられっぱなしでどうなってしまうのだろうという不安と、私に施されるであろう計り知れない快感への期待が、不思議なバランスでまざりあっていた。


ふたりのふとした動作に反応してしまう。

どちらのキスも好きだから、唇が近づけば嬉しくなってしまうような体に変化してしまった。


あちこち見て回っているときも、不意に腰に回されるルカの手や髪に触れるノアの唇を焦がれていた。


涼し気な色のガラス細工に触れるノア
カラフルなアイスクリームを食べてるルカ

まだ空はギラギラに明るいのに
ふたりを見ても、いけないことばかりが思い浮かんで来てしまうのだった。
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