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Gemini
第15章 初めて
「はぅっ!」

だけど、それは一瞬で終わってしまった。もっとして欲しかったけど、その代わりにツプッと差し込まれて、ニュクリと薬が押し出された。

(あぁ…そうだった…)

あのお腹がズクズクとする感じが、もうすぐやってくることはもう分かってる。ノアには先に行っててもらおう。

「ねぇノア」
「さ、行こうか」
ほぼ同時だった。

バンツとショートパンツを履かせると、ノアは私のスーツケースの方に行こうとしてる。

「先に行ってて」

「ダーメ。一緒に行くよ。」

「でも、まだ、これから…」

「だから、早く行こう」

「無理だよ、外なんか出れないってば」

「ほら、行くよ」
いつもならまだ平気なはずの時間内なのに、なんだかお腹が気になってしまう。

「ダメだってば、無理、本当に」

「ほら、早く行かないと大変なことになるよ」

顔は優しく微笑んでるけど、私のお願いを聞き入れる気は一切ないのかもしれない。

「ね、ノア。トイレもシャワーもしてから行きたいの」

「全部上でするから大丈夫だよ。」
微笑んでるけど、瞳は意地悪だ。

ズクン………
何となく気配がし始めた。
「わ、分かった、早く行こ!」

「忘れ物は、ない?」
ドアの近くで部屋の方を振り返るノア。

きっとわざとだ。
そう思っても何も言わない。もう1秒でも早くノアたちの部屋に行きたい。


ルームキーを抜いた手が少し震えていた。

「かわいいね」
ノアにキスされそうになるのを避けてドアのノブを握る。




「早く!」

エレベーターが来るのがすごく遅く感じる。

さっきからお腹に感じてるのも、そろそろ気のせいとごまかせなくなってきてる。

口を尖らせてふぅーっと細く息を吐いた。


エレベーターの扉が開く。
誰もいない。

現在地を示す光をじっと見つめて、ため息が出る。
「ぁぁ…」
思わず心の声が混ざってしまった。
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