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Gemini
第3章 悪戯な笑み
「怖くなかった?ごめんね?」

首を縦にも横にも振ることは出来ず、ただノアの胸にしがみついた。

「大丈夫?」

優しい声に顔を上げて正直に答える。
「ぅん………でも…」

「でも?」
ルカが私の方に顔を近づけてくるのを避けて、反対を向く。

「でも?」
今度はノアの声が直接耳に響いた。

「…でも…嫌じゃなかった……かも…」

その瞬間、私の腰に当たってたノアのアレが、ピクンと動いたのを感じた。

(犬の尻尾みたい…)
ふとそんなことを思った。


「嫌じゃなかったなら、よかった」

「絶対気持ちよくなるから、オレに任せな」

「ゆっくり知っていけばいいよ
ルカもちゃんと理性的に、な」

「抜けがけは無しだからな」

「抜けがけ、ねぇ…」

「カナデのハジメテは les nôtres」

美しい2人の会話のキャッチボールを、ぽーっと見ていた私だったけど、自分のことを話されてるってことに気づいてふと我に返る。

「ちょっと!何?今なんて言った?」

「大丈夫、安心して」
ノアがルカみたいな顔して笑ったのを見て、なぜか胸がきゅうっとなった。
「いつかカナデのかわいい顔見せてね」

「いつがいい?」

「カナデの気持ちをちゃんと聞かないと」
ノアの腕の中で色々と想像しちゃって、顔が赤くなったのが自分でもハッキリと分かる。


「こっちにも来いよ」
ルカが私の腕をひいて、自分の方に寄せた。
「かわいいなー、カナデ」
ぎゅっと抱きしめたまま、私の頭を撫でた。
「独り占めしたいなぁ」

「それはダメ」
ナデナデしながら、そんなことを言ってるルカにノアの厳しい声。

「あぁー、全然おさまんねーけど?」

「我慢しろよ」

「また今度な、カナデ」
ぐいっと両ほっぺを挟まれて、そのままルカの唇が重なる。舌がぶにっと唇を割って入ってくると、さっきまでのことが思い出されてしまう。

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