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Gemini
第19章 滲入
「どうしたの?大丈夫?」
ノアは普通の声で私に尋ねる。

ママは何の反応もしない。もう寝てる?
私は顔も上げられない。

「ふふっ」
ノアが爽やかに笑った。
表情だけは爽やか。でも手の動きは意地悪だった。

そして不意にまた耳に唇が触れた。
「もっと?それとも…やめる?」
くくっと笑ってるみたいにノアの肩が震えた。

唇を噛んでいる私の顔の下に入り込んできたノアは、私の唇に自分の耳を当てた。
(ちゃんと言えってこと…?)

顔が見えない今だったら言えるかもしれない。
「…っと…」

ノアは何も言わないまま、指をパンツの中から抜こうとした。
「え……や……もっとっ…」

「もっと…何?」
私の唇に耳を押し付けたままで、そんな意地悪を言う。


「もっと…触って…」

ノアの上にのせられた足がグッと引かれ、体が窓側に寄りかかる。ノアの指がパンツの脇から入ってきて、また優しく撫でてくれる。

私の顔を見ながら微笑んでるノア。

(私は今どんな顔をしてるんだろう…)

ずっと触ってて欲しい…
誰にも見られないように

そう思ってしまったのがバレたのかもしれない。
ノアはまた指を離してしまった。

そして指先を親指でなぞって見せた。

そこを湿らせてしまった私の顔を見て、今度はパンツ越しにカリッと爪で引っかき始めた。

もどかしいけど、気持ちいい。
やめて欲しくないから、何も言わずにじっとしていた。

ふんわり気持ちいい夢見心地のドライブは、中間地点にある琉球ガラスのお店につくまでの間ずっと続いていた。


いつもならキスしてくれるノアの唇が、今日は一度も触れていない。口の中を掻き回すようなノアの荒々しい舌を感じたくて堪らなかった。
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