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Gemini
第19章 滲入
「ジンべー、でかいかな」

「え?!……あぁ…そうだね」
私の反応をみて楽しんでる意地悪ルカ。ノアも愉快そうに笑った。



色とりどりの小さな魚たちが明るい水槽の中で、仲良さそうに泳いでいた。
さすが夏休みという人の多さで、いつの間にかママたちとは離れてしまったけど、私たち3人は常に一緒に順路を進んだ。

はぐれずに済んだのは、ルカが私の手を握っていたから。この人の多さなら、もしママたちに手を繋いでるのを見られても違和感はない…かもしれないと思ったんだ。

あまり人が入っていかないサンゴの部屋は、他のところよりも薄暗かった。

展示のない端のところで立ち止まったルカが、耳元で囁いた。
「どんな感じ?」
同時に、スカートの上からツンとつついた。

「んっ…」
簡単にまたそっちへと意識が向かってしまう。

寄り添うように立っていたノアが、私の顔を自分に向けて、ちゅうっとゆっくり唇を重ねた。
重ねるだけで終わったキス。

顔の向きを変えてルカを見ると、ルカも顔を寄せてくる。同じように重ねるだけでルカの唇も離れていった。

(物足りない…けど、人はいるし…)

ふたりとも笑顔で、私を見ている。
意地悪してる訳じゃない?

そのままルカに手を引かれて、どこへ行くのかと思ったら、順路を進む人の流れに加わってしまった。
がっかりしたのが顔に出てしまいそうになる。


次に、シアターに入り3人並んで座ると、大きなスクリーンに沖縄の海が映し出された。

一斉にみんなの目がそちらを向くと、負けないくらい美しいふたごが私のスカートの中に手を入れてきた。

何も邪魔するものがないそこは、薄いシフォンのカーテンの中でふたりの指に触れられるのを待ちかねていた。
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