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第21章 現実

少ししてルカが戻ってきた。みんなで当たり障りのない話をしている間に、搭乗時間になった。


「あっという間だったねー寂しー」
「飲んでばっかで記憶が抜けてんじゃね？」
つーちゃんの言葉にルカがつっこむ。

おしゃべりしながら飛行機に入っていく。自然と行きと同じように、ママとつーちゃんが真ん中のブロックに入り、私たちが窓側のブロックに座った。歩いていた流れで入ったので、窓際が私、ルカ、ノアの順になった。

特に会話もないまま離陸し、シートベルトのサインが消える。

隣でルカが開いてる雑誌を横目で覗き見る。似たようなカメラが並んでいるだけのページの端を、ルカの長い人さし指がピラピラと弄んでいた。

近くにいるのに遠く感じる。

キレイな横顔を視界の隅に捉えて、その顔の表情をうかがう。

「なーんだよ？」
雑誌をパタンと閉じたルカが、体ごと私の方に向いた。シートに肘をついて、じっと私の目を見てくる。

「な？え？は？なにが？」

「サカってんの？」

「サカ？はぁ？」

「キスでもして欲しいのかと思って」

「そっ…そん…」
図星だった。
意地悪を言うルカの唇が私の唇に触れてくれないのが、寂しくて仕方がないんだ。

でも認めるのも悔しい。

でも…