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Gemini
第21章 現実
「そうだよ、だってしょうがないじゃん!」

もう否定はできなかった。一気に捲し立ててしまう。
びっくり顔のルカが私を隠すように更に体をこっちに向けてくれた。

「いいよ、ほら」
キラッと意味ありげに光った瞳。

それから少し近づいた顔。

いつもならルカから近づいてきてくれるのに、すぐそこにある薄く色づいた形良い唇はそれ以上前に出てきてくれない。

私は少し周りを警戒しながら十数時間ぶりに唇の感触を味わった。乾いた唇が触れただけなのに、胸がドキドキしてしまう。

「もっと舌だせよ。オレの味わかんないだろ?」

もう一回唇を重ねたあと、唇を離して舌を伸ばした。

ほんの少しだけ、舌の先が触れ合う。

じゅぶっと舌を啜り上げられて、空気と一緒に舌先が震える。

(よくクリトリスにしてくれるやつだ…)

そう頭を過ぎるだけで、内ももに力が入ってしまう。体がすぐにそっちのスイッチを入れてしまうんだ。

じっと私を見つめる瞳。

(そうやって、ずっと私だけを見ててくれたらいいのに)

また啜って欲しくて、舌を唇からはみ出させてみた。

「エロい顔」

なんて言われてもいい。ルカが私の欲しいものをちゃんとくれるなら。


目を閉じてルカと舌を絡ませる。頭の角度は変えられないから、ただただルカの舌を舐めながらその唾液を摂取した。

これが、その日唯一の接触だった。
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