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Gemini
第21章 現実
ノアが私に手のひらを向け、察した私は一瞬悩んでからそこにまた手を乗せる。

今度は唇じゃなくて、ベロで指先に触れた。

ツーンとクリトリスが痺れるような感覚。
下半身がジワジワとそれに侵食されていく。

(ダメなのに…)

体の中の血液が暴走するようにざわめいているのを、止められない。

(ママ、こっちにきちゃう)


一旦離れたノアの舌がまた指先に触れそうになった瞬間だった。
「椿、仕事はいつからだっけ?」

「明後日って言ってたかな。たまちゃんはもう今日からなんだって?」

「そうなの」

「カナデと夕飯食べに行こうって言ってるんだけど、いいかな?」

「助かりますー」

冷蔵庫を開ける音。
もうすぐミルクを入れ終わったママがこっちに来る。

呼吸を整えて…そう思った矢先、ノアは私の指に歯を立てた。関節のところに微かに歯型がつく程に。しかめ顔になったけど、声は堪えられた。


「海ぶどう、美味しかったらまた頼もうと思ってるんだよねー」
ママがノアの正面に座りながら話しかけた。

私は中指の関節で光るノアの唾液と赤くなった歯型を反対の手で隠す。

「カナデも海ぶどう気に入ってたもんね」
ノアの目が私をじっと見つめるだけで、ジーンと体の一部が熱くなる。

「あ…うん。そうだね」
ソワソワしないように、冷静を装う。
それが更にゾクゾクを増加させてしまう。
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