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Gemini
第21章 現実
結局、ノアはあのまま出かけてしまったらしく、ルカとふたりでご飯を食べに行くことになった。
私の希望を聞いて、少し遠くの小さな洋食屋さんに向かった。


「オムライス、人気みたいだね」
小さな店内はほぼ満席で、空いてたのはカウンター席だけだった。半分くらいのお客さんがオムライスを頼んでいるようにも見えた。
「でもやっぱり…ハンバーグ!」

「オレはグラタンとパスタのセットかな」

カウンターの向こうで一生懸命フライパンを動かしている白髪のおじさんが、にっこり笑って注文を繰り返してくれた。
食事が届くまでの間、テーブルの上で手を弄りあっていた私たちのことを見て「仲がいいんだね」と笑ってくれた。

「私、こういうお店でバイトしたいなぁ」

「んー…でも、学校は禁止だろ?」

「地元ならバレないって話だよ」

「まぁそりゃそうだ」

お腹がいっぱいになってお店を出る。
このまままっすぐ家に帰るのは、ちょっと嫌で…少しだけ歩く速度を落とした。


「あー、やっぱりバイト募集してるか聞いてくればよかったー」

「まだ言ってる」

「だってぇ」

「そんなに時間あるなら、オレんとこ来れば」

「ルカの?カフェ?遠くない?」

「違う、オレんち。時給はでないけど、ご褒美はいっぱいでるよ」

「何それ、ど…」
気づいたときにはルカの腕の中に抱きしめられてた。
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