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Gemini
第23章 バランス

インターフォンを鳴らすと、部屋の方から声がした。
「開いてるー」

玄関を入り、鍵を閉めて、直接ルカの部屋に向かった。

ベッドに座ってたルカは、持ってたスマホを横に置いた。私は黙ったままルカの前に立つ。

「髪…濡れてる」
手を伸ばして濡れてる場所に触れた。

「うるせー。寝癖やばかったんだよ」

「あはは」
やばいって、一体どんなだったんだろうと想像して爆笑してた。でも…私が来るからって、寝起きなのに慌てて髪をチェックしたってことだよね。
ちょっとだけニヤけてしまう。

「で、なんだよ。どうした?」
ベッドに寝転んで手枕をしながら、私を観察してくる。

「別に…なんでもないけど。なんとなく」

「なんかあった?」

「…無い、けど。無かったらダメ?来ちゃ」

「いや別に。いつでも来ればいいけどさ」

「いつでも?それはダメじゃない?」

「なんで?」

「なんでって…鉢合わせしたりしたら…」

「鉢合わせ?何が?」

「前、見ちゃったし。女の人…」

「女…?あ…あー、あれノアだろ?」

ルカはコロンと仰向けになった。

「違う!ルカだったもん!」

「あー……だとしたら、だいぶ前だろ?もうオレんとこには来ない」

「もうって何?だいぶ前って?この間じゃん…」

完全なる焼きもちなのに、八つ当たりみたいな言葉が溢れてしまった。
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