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Gemini
第23章 バランス
でも、もうルカが他の誰かと…なんて想像するのも嫌だった。もう無理ってくらいにベッドじゃないとこで弄られても、小学生みたいなしつこいちょっかいを出されても、他の男の子に大人気ない焼きもち妬かれてもなんでもいいから、他の誰かになんて触れてほしくなかった。

そんな気持ちを言葉にしたくて、ルカの方を見る。
(私はね…)

「なに?オレのこと独り占めしたくてぐずってんの?」

私の気持ちを面白がってるみたいな言い方が、胸に刺さった。

(独り占め…したいと思っちゃダメなの?!)
(好きってそういうことじゃないの?)
(私のことをノアと一緒にできるってことは、好きじゃないから?!)

グルグルと高速度で思考が巡る。胸の痛みもズキズキと続いている。

「かわいいなぁmon bébéー」
まだお子ちゃまだと言われたような気がして、差し出された手を振り払ってしまった。

「やめてっ」
(ちゃんと…対等に…私は…)

上手く出てこない言葉を噛み殺して、私は部屋を出た。玄関のドアが締まりきるのを待たずに、階段を駆け下りたのだった。


(肌が触れてるときはあんなに甘くて優しいのに…)

(私じゃなくて、私の体が好きなだけってこと…?)

湧き上がってくるドロドロとした思いは、深呼吸してなんとか蓋をした。家の玄関を開ける前に3回、鼻から息を吸いこんで、ふぅぅっと吐き出す。

静かにドアを開けて、自分の部屋に直行した。
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