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Gemini
第23章 バランス
髪色が更に明るくなった和樹は、先に座って待っていた。待ち合わせ時間の5分前に着いたのに、和樹のポテトはもう減っていた。

「ごめんな」

「ううん、こっちこそ、来てもらっちゃって…」

「………」
「………」

「あー、えっと…」

「この間は、ごめん…ね」
とりあえず、これだけはちゃんと言わなきゃ。

「いや、全然」

「空気悪くしちゃって…本当ごめん」

「あれは、あのバカが悪いから」

「私ね…実は、今…」
「あ!…と、ちょっと待って!」

「え…?」
「なんとなく、察してるから、言わなくていい」

「あ…うん……」

「俺も今すぐなんかどうにか、とも思ってなくて、ただ…」
ジュースをひと口飲んでから、和樹が続けた。

「結構本気で、初めてで、だから…もうちょっと頑張って、努力?ってか、その、えと…」

頭を捻りながら言葉を探してる和樹。太陽の光が当たった髪がオレンジ色に輝いて見えた。あんまりしゃべるの得意じゃないのに一生懸命話してくれてる。

「まだ、結論出すの待ってくんね?もうちょっと、チャンス貰えないかなって」

「あ……うん」
気づいたらそう返事をしていた。

「よしゃっ!」
息を吐きながら天井を見上げてる和樹に向かって、「でもやっぱり…」と撤回することはできなかった。

「あとこれ」
バッグの中から小さな袋を取り出して、テーブルに置いた。
「気に入らなかったら誰かにあげて」
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