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Gemini
第23章 バランス
「え、あの、これって…」

「たまたま、旅行先で見つけて、似合いそうだったから」

「ありがと、いいの?開けてもいい?」

「いや、家で…後で開けて。恥ずい」

「あはは、分かった」
声をあげて笑った私を見てる和樹の顔は、いつもとは違ってすごく自然な笑顔だった。

「今日はもう帰るわ」

「え?!あ、そうなの?」

「とりあえず家まで送る」

「大丈夫だよ、まだ昼間だし」

「いいから」

1時間もしないうちに私たちは外へ出た。
家へ向かう道を並んで歩く。前のことがあるから、マンションの前まで来てもらうのは気が引けてしまう。

「もうここら辺で」

「あと少し」

「でも…」

「じゃ、あのコンビニんとこまで」

うちからすぐのコンビニの前で、和樹は足を止めた。
「じゃ、また」

「うん……また」
軽く手を振ってからマンションに向きかえると、いつもの自販機のところに見慣れた姿があった。

「ぁ…」
女の人がピッタリ体をくっつけて、耳に口を近づけてる。男の人の方の、あの服の感じは多分…

「どうした?」
和樹がまた戻ってきて、隣に並ぶ。

「なんでもないよ…。じゃ…」
意を決して足を進めた。なるべく見ないように、顔を背けながら。

「ごめん、また俺何か変なこと」
「ないない。大丈夫だからっ」
和樹に腕を掴まれてる私の方を振り返ったのは、やっぱりルカだった。
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