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Gemini
第23章 バランス
ママの前ではなんとか普通に過ごすことができたと思う。昼にあったことは頭の隅っこに追いやって一生懸命笑顔をキープした。
だけどそれも夕ご飯までが限界で、不自然じゃないように気をつけつつ、早めに部屋に戻った。

和樹に貰った小さな袋を開けてみると、小さな星がたくさん揺れてるイヤリングだった。あの日の花火を思い出させるデザイン。

片方は耳につけて、もう片方はつまんで揺らしてみる。

もしあの時に戻れたら…私は和樹のキスを受け入れるかな?
でも想像したキスは、ルカの甘く蕩ける優しいキスだった。

あの人とルカの関係って…
抱きつくみたいに手を回して耳元に唇を寄せていたあの人は、ルカのことが好きなのかな?

あれがノアだったら…
ここまで気持ちが乱れない気がして、自分の気持ちがルカに向いていることを再認識した。

結局ルカのことばっかり考えている。

和樹から向けられるまっすぐな気持ちが、崩れそうな足場に立つ私を支えてくれている。
本当にいけないことだと頭では分かってるけど、すぐに自信がなくなってしまう私にとっては重要で、必要なもののように感じてしまった。


[イヤリングすごくかわいい!]
[ ありがとう]
耳を写した画像を送った。

既読がついてから少しして返信がきた。
[ つけてくれてありがとう ]

その時間差は和樹が私のことを考えてる時間だと思うと、痛かった胸がほんのり温まるような気がした。
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