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Gemini
第6章 知らなかったこと
「通話、大丈夫ですか?」
「なんで敬語?」
「え…っと…」
「友達からだから平気」
少しぶっきらぼうだけど、冷たい訳じゃない。

「あれ?あいつらは?」
「あっ、えっと、先に渡っちゃって…」
でも、車の切れ目から見える向こう側には、もう凛たちの姿は無かった。

「あ…だめか…」
和樹さんは電源の入らないスマホを見てため息をついていた。

信号が変わった途端に走って渡ったけど、やっぱりどこにも見えなかった。

「少し待ちますか?」
「敬語じゃなくていいって」
「はい。…あっ、うん。」

「カナデ…だっけ」
「うん」
「1年?」
「うん、そう。和樹さんも?」
「さんって…、和樹でいいよ」

ガードレールに寄りかかりながら、少しずつ話し始めた私たち。ワイワイと盛り上がるという感じじゃないけど、ポツポツという会話は居心地が良かった。

せっかく会話が続くようになってきたところで、グウッと私のお腹が鳴った。
「俺も腹減った」

少し微笑んでそう言った和樹と、駅の方に戻って何かを食べることにした。

「何がいい?」
「任せます。」
「普段はどんなん食ってんの?」
「昨日はあそこ…」
私はファストフードの看板を指さした。

「じゃあ、あれは?」
和樹は、たこ焼きやさんを指さした。私は二つ返事で了承した。

タルタルがかかったもの、ネギがたくさんのったもの、チーズがとろけてるもの…色々ある中で、私はオーソドックスなのを注文した。和樹も全く同じものを頼んだ。
「こういうの、冒険できなくて」
「俺も…」

熱々のたこ焼きをフーフーしながら食べるころには、更に打ち解けて話せるようになっていた。


「何か書くもんある?」
バッグの中から手帳を取り出して和樹に渡した。
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