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Gemini
第6章 知らなかったこと
〖奈良橋 和樹 070-95…〗
手帳に書かれた文字は意外と上手だった。
「俺、LINEやってなくて。」
「私、スマホ持ってなくて。」
「おぉ、それは…さすがにすげーな」
「もうすぐ買ってもらうことにはなってるんだけど…」
「もうすぐって、いつくらい?」
「うーん…あんまり必要に迫られてなくて」
「ふーん…」
歩いているうちに駅の改札までたどり着いてしまった。
「とりあえず、家ついたら電話して」
「え?」
「念の為」
「でも…」
「会ったばっかの人間に送られるのも嫌だろうし」
「そんなことっ…ないですけど……電話します」
「ん……じゃ…な」
「さよなら。あの…ありがとう。楽しかった」
「俺も」
その一言に嬉しくなる。
改札の外からずっとこっちを見ていてくれる和樹。見えなくなる直前に、小さく手を振ってみた。
和樹は頭の上まで手を挙げて、振り返してくれた。笑顔と一緒に。
手帳に書かれた文字は意外と上手だった。
「俺、LINEやってなくて。」
「私、スマホ持ってなくて。」
「おぉ、それは…さすがにすげーな」
「もうすぐ買ってもらうことにはなってるんだけど…」
「もうすぐって、いつくらい?」
「うーん…あんまり必要に迫られてなくて」
「ふーん…」
歩いているうちに駅の改札までたどり着いてしまった。
「とりあえず、家ついたら電話して」
「え?」
「念の為」
「でも…」
「会ったばっかの人間に送られるのも嫌だろうし」
「そんなことっ…ないですけど……電話します」
「ん……じゃ…な」
「さよなら。あの…ありがとう。楽しかった」
「俺も」
その一言に嬉しくなる。
改札の外からずっとこっちを見ていてくれる和樹。見えなくなる直前に、小さく手を振ってみた。
和樹は頭の上まで手を挙げて、振り返してくれた。笑顔と一緒に。