この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンケートから生まれた Love story
第6章 結婚の条件
「さよなら」
質問を無視して突然通話を切ろうとする俺を見て
笑顔だった女は悟ったらしく、慌てて首を振った。
『違うよごめん!切らないで』
「悪い、仕事に戻る」
『あたしね、秋が好きなの、だからお願い』
怒って、笑って、今度は目に涙を浮かべて
『終わりにしたくないの。
も、もちろんまだ始まってもないけど』
「………」
『付き合いたい。……ダメ?』
赤くなったその頬に、一瞬にして雫がこぼれ落ちる。
こんな簡単に感情をコントロールできて凄ぇな、と思った片隅で
……2日前の、彼女の涙を思い出した。
同じ悲しい表情なのに
……なにが、どうして違うと感じる?
「俺と付き合っても楽しくないぜ」
彼女への意識を消して、溜息をつく。
「優しくねぇし、一緒に居れない方が多いし。
彼氏らしいこと何も出来ない」
『良いよ全然! 秋と恋人になれるなら…』
「だとしてもそこで終わるよ。 結婚しないって決めてるから」
最後の一言で、相手の涙も言葉もピタッと止まったから
画面越しに、丁寧に手を振った。
「バイバイ」