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アンケートから生まれた Love story
第6章 結婚の条件
扉の前、1段だけある段差の上に腰を下ろした。
遊歩道に間隔を空けて出来た水溜まりが、キラキラと光って
雨上がりのこの蒸し暑さでも、服が乾くまでには時間がかかる気がする。
『……たか、のさん』
俺の座ったすぐ横に、膝を抱えて彼女も並んだ。
『高野さん、ありがとう』
『……!』
『すごく親切な人……心から感謝します』
申し訳なさそうなか細い声だけど
俺が目を合わせると、彼女は小さく微笑んだ。
……特徴のある言葉遣いと、この笑顔。
マジで調子狂うんだけど……
『あのさ。
やめない? その高野さんっていうの』
『……えっ?』
『とりあえず今、他人から一歩近付いたわけだし。
敬語も禁止』
『そ、そうですね……あ、そうよね。
そしたらなんてお呼びすれば……』
『別になんでもいいよ。
苗字でタカでも、名前のアキでも』
『……タカ?』
『今、会社でそう呼ばれてる』
何をそんなに考えるのか分からねぇけど
しばらく下を見てモゴモゴ言ってた彼女が、顔を上げた。
『じゃあ……タカくん』
『……!』
『タカくん、よろしくね。
ありがとう』