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第7章 間違ってないよ

「ご、めんね。
早く来過ぎるのも、逆に困るよね」


顔とかテカってないかな？
髪型、変じゃないよね？

これが日常モードだろう彼があまりにも素敵だから
どうしたって自分の見た目を気にしてしまう。


「緊張しちゃって、落ち着かなくて」
「無理ねぇよ。元婚約者とこれから会うんだから…」
「そ、そうじゃないの」


そうじゃない、と思わず否定したけど
そのあとの言葉を選んで考えて、結局何も言えなくなってしまった。

深呼吸をしようと視線を上げたら、彼とバチッと目があってしまう。


「あー…」


ふっと視線を逸らして、バツの悪そうな表情のタカくん。
彼と私の間に、少しの沈黙後が漂ったけど


「この前、ちゃんと帰れた？」


先に口を開いたのは彼。


「その日にはメールも何もしなかったけど、気になってた。
風邪引かなかった？」

「……！ だ、大丈夫。
私はそこまで雨に打たれなかったから…」

「はは、そうだな」

「……！」

「あんたを追い掛けた俺の方が、びしょ濡れだった」