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アンケートから生まれた Love story
第7章 間違ってないよ
……一瞬
前を歩くタカくんの足が止まって
私も同じ方向で視線が止まる。
「……っ」
港に続くウッドデッキに近い、丸いテーブル席。
4人席のひとつに……スマホを触る彼の姿があった。
Tシャツにチノパンの、ラフな格好。
帽子をかぶっているけど……サラッとした前髪が風に揺れていて
ドクン、と強く心臓が跳ねる。
(……こっち)
首で軽く合図されて、その人の横を通り過ぎた。
後ろの位置にある、偶然空いていたもうひとつのテーブルに
私が背中合わせになるように、静かにイスを引いて腰を下ろした。
「間違いねぇな?」
向かい合ったタカくんに聞かれて、コクリと頷く。
婚約者と私の間の距離は、1メートルあまり。
隣りのテーブルには若い男女が楽しそうに会話しているし
スピーカーから広がる音楽で、私達の存在は気付かれていない。
「……ふーん、あれが詐欺師」
テーブルに肘を付けて、顎を乗せて
タカくんは私越しに、見定めるような視線を彼の背中へ送った。