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アンケートから生まれた Love story
第2章 漫画みたいな終わり方・始まり方
ビジネス向けに絶妙にスタイリングされた、マッシュショート。
髪を後ろにかきわけた彼が、普通の使い方に迷って首を傾げてしまった。
「……」
お金を取り返したい
騙されたんだから見返したい
彼の言う通り、その一般的な感情も少なからず私にもあるはず。
いや、あったはずだ。
だけどそれは
私が今 ‟ 進めと言われている道 ” からは外れてしまう。
「……私」
「……!」
「私は、まさにその ‟ 普通 ” を
人生の目標として掲げ、日々生きています」
ポツリと呟いた言葉だけど、彼にははっきり聞こえたらしい。
今度は明らかに怪訝な顔をされた。
「人生の目標?」
「極めて抽象的なので、実態を掴みにくいものですが。
ちゃんと私に ‟ 指示 ” してくれる人もいますから、迷いません」
「………」
「落胆して、報復を目論んで、返金を求めに行くことも
……無駄な時間だし、それ以前に自分1人では何もできない」
一般的で、平凡で、安全で安心な
導かれる方向へ
「……だから
言われた通り、進まなきゃならないのです」