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アンケートから生まれた Love story
第7章 間違ってないよ
「……!」
ウッドデッキの1番端まで辿り着いて、手摺を掴んで海を眺めていたら
近付いてきた足音が、すぐ私の右側で止まった。
「……ごめんね、タカくん」
正面を見つめたまま、静かにそう告げた。
停泊中のクルーズ船や、観覧車をはじめとした辺り一面の夜景が
水面に映し出されて、幻想的な世界を作り出している。
「とんだ災難に巻き込んじゃった。
詐欺の再現VTRとかに、使えそうな実話になったね」
「………」
「気付かなかったお前が悪いって
視聴者が一斉にツイートしそうなくらい、典型的じゃない?」
あぁ、こういう自虐を言うことすらイタイな。
相手が返答に困る、1番やっちゃいけないことだ。
「サッパリしてて、妙なところで切替えるって言ってくれたよね。
まさに今ここで発揮しなきゃって感じ……」
「………」
「~~タカくん、何か言って?」
沈黙を作らないでよ~~
これ以上惨めになりたくないの。
勝手に耐えきれなくなって、救いを求めて顔を上げると
「……っ」
夜景に照らされた瞳が、切なく揺れ動いて
タカくんが私をまっすぐ見つめていた。