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アンケートから生まれた Love story
第3章 問答無用で引き受けろ
「出て行ったのは3月だから、3ヶ月以上か。
出社は明日からだと思ってた」
「報告無しに申し訳ありません。
MT終わる頃にまた声掛けるので…」
「いいよ、俺は朝礼だけだから」
周りの皆にも軽く挨拶だけして、蓮さんの後に続く。
話し方も穏やかな先輩が、デスクに座って俺を見上げた。
「痩せたな。ちゃんと食事出来てたの?」
「視察の1ヶ月、途中から現地と同じもの食わされました。
そのうち全員狩りまで同行させられるんじゃねぇかって空気になって」
「……いやお前どこまで行ったんだ」
「 “ 商社マン ” が通じない、そもそも本職が何かを見失いそうになった秘境まで」
その甲斐あって、この新規開拓案件には手応えを掴んだんだ。
無理言って長期出向を後押ししてくれたこの人の為にも
1時間後の定例報告で成果を突きつけたい。
……はずだったのに
「定例会中止?」
「うん」
「中止…」
「うん」
俺が二度も繰返すもんだから
報告書が入ったタブレット端末を手に、蓮さんは笑った。
「急に役員会の準備が必要になったとかで。
朝一で課長がブツブツ言いながら消えていったよ」
「……」
「来週の週会議で済ませろってさ」