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アンケートから生まれた Love story
第10章 軋み


秋の会社側、創建当時の姿に復原された駅舎。

オフィス街へと続く改札を出ると
石膏パーツのレリーフが美しい、ドーム天井のフロアスペースがある。


「ここで待って」


ゴシック調の丸い柱の前で止まって、秋がスマホを取り出した。
左隣りに並んで、高い天井裏の繊細な模様を見上げる。


「蓮さん、着きました。
・・・はい、ちゃんと分かってます。だから一緒に居ます」


ぷぷっ、秋、敬語だ。
思わず笑っちゃった。

先輩なんだから当たり前だけど、いつもと声質も違う。


「………」


……今、蓮さんって言った。

そういえばこの前も言ってた。

秋は私の4つ年下で、先輩は当然それ以上で。
つまり私の年下ってこともありえるわけで。


‟ なんで気付かないわけ? ”
‟ 俺は姫宮蓮に気付いたのに ”


……まさか、本当に……?




精悍な顔をした
もう1人の黒髪の彼が脳裏に蘇ってきた



─── 同時に



「……!!」



パンッと、耳を劈くような衝撃音と共に

左頬に痛みと血の味が広がった。






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