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アンケートから生まれた Love story
第10章 軋み
秋の肩を抱いて、大丈夫と繰り返した彼が顔を上げて
……立ち尽くす私を見て、小さく頷いた。
……この人は……
「シェリー、119番通報してくれる?」
「……!」
「あなたは、駅員を呼んできてください」
私に電話するように言った後、すぐに母を見上げて指示をした彼は
……水泳でインターハイにも出場した
あの頃の、艶のある短い髪のままで
「ヒメ、この鞄持って。 タカが落ちそう」
「俺が電話した」
「……!」
「数分で来る」
黒髪の彼が、後方に向けて話しかけると同時に
後ろからスマホをポケットにしまったもう1人が
地面に膝を付けて、横に倒れそうな秋に手を伸ばした。
ふわりと揺れる、ウェーブのかかったブラウンの髪。
対照的な服と、アクセサリーの数。
「……っ」
─── 11年前と、同じ
大学当時、全ての在校生憧れの的だった同じ名前の2人
はっきり面影の残る彼らと、こんな形で同時に再会するなんて……
「タカ、深呼吸しろ。
ゆっくりでいいから」
鈴木くんと姫宮くんに、上体を支えられて
だけど秋はまだ目を閉じたまま、左胸を押さえて苦しんでいる。
どうして…… 発作なんて……
「……った……」
ほんの微かに、秋が口を開いた。
「俺が悪かった」
「……!」
「ごめん……」