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アンケートから生まれた Love story
第11章 後遺症
* * *
─── 遠くから、誰かが呼ぶ声がする
目の前が真っ暗で、辺り一面闇しかなくて
それでも声のする方に手を伸ばすと
「……タカ」
……少しずつ視界が開けて、明るくなってくる。
無機質な天井と蛍光灯が見えて
俺が上に向けた左手が、重力によって落ちようとした時
左側から腕時計をした手に掴まれた。
「戻ったな」
「……」
「分かるか?」
女性だと思っていたその声は
男の声だったことに気付いて
「……蓮さん……」
動かした視線の先に
左上から俺を見下ろす姿が映し出された。
「……」
……あー
またやったか。
ベッドの固さ、医療器具、独特な鼻を刺す臭い
説明を受けなくても、ここが病院の個室で
自分が運ばれて寝ていることが、瞬時に理解できた。