パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第11章 後遺症

「部屋から出ようか？ 一旦、俺も…」
「いえ、いいんです」
「……！」
「すみません。……ありがとうございます」


動悸と眩暈で、朦朧とした意識の中でも
彼ら2人がずっと俺を支えてくれていたことを、感覚的に覚えている。


駅の宿舎で、人混みの中で
相手はたった１人だったのに

しかも、その相手は彼女にとって……


「……っ」

「……タカ」


蓮さんから離して、目の上に腕を乗せた。


……情けねぇ。

なにやってんだよ、マジで……


隠して
隠して、隠し続けて

自分自身を誤魔化しているうちに

最初から無かったことにならねぇかって
もしかしたら治ったんじゃねぇかって

そうやって抑え込むことが出来ていたのに




「……俺は結局、肝心な時に何も出来ない」



そう言葉にした瞬間に
張り詰めていたものが、全部切れたように感じた。

装着した仮面が
固めたハリボテが

メッキが剥がれるように落ちていく。