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アンケートから生まれた Love story
第11章 後遺症
「タカ……」
蓮さんが俺の手を握ったけど
熱くなった目がその姿を滲ませたから、また腕で隠した。
……偉そうなこと言っておきながら、このザマだ。
カフェで偶然出会った彼女に
惹かれていく自分の心に、嘘はなくて
目指す方向は違うけど
普通を求める想いに、どこか寄り添えたような気がしていた。
嬉しい、ありがとうと笑う彼女の笑顔を
この手で救い、助け出した優越感に浸っていた俺を
変わらない
変えられないと
今
暗い過去が引きずり戻していく ───
「守れなかった。
だから、戻ってこなかったんだ」
「……!」
「…… ‟ あの人 ” は、戻ってこなかった」
封印した日の記憶が、鮮明に呼び起こされる。
家を出ていくあの人の背中に向けて、一緒に行かないと告げたのは
絶対的な立場にいるあいつの手が、またあの人を追い掛けないようにする為。
ここに残って、見張って、耐えて
自分の心身が成長し、同等に戦えるようになったら
その時は正々堂々と
‟ お帰りなさい ” と、言えるようになっているから
待っているから ───