この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンケートから生まれた Love story
第11章 後遺症
「……俺はもう、しえりさんには会えません」
「……!」
「会う資格がない」
本当は強い
乗り越えられると告げた時にはもう、確信していた。
詐欺の婚約者の前で
凛と立つ姿を目に焼き付けた、あの瞬間に。
……大丈夫。
しえりさん、あなたは
あの毒親から解放されて、きっと自分自身の道を歩いていける。
いざという時は
俺の傍に寄り添う、こんなにも優しく強い2人が
しえりさんを支えて守ってくれる。
「……お願いします。
2人から、伝えてください」
意識がまた遠のいていく。
付き添ってくれた2人に告げた言葉は、誰もが納得する結果のはずなのに
眠りについても、俺の頭には彼女の笑顔が浮かんで離れなかった。
20年前の真夏
後ろ姿が見えなくなるまで、手を振り続けて
涙を目にいっぱいためて出ていった、母の笑顔と重ねるように ───