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第3章 問答無用で引き受けろ

── 大手商社の総合職

第一線の営業として広く通用する為には
知力体力以外にも ‟ 当然 ” 必要な才能や力量があって

その能力は多ければ多いほど、この激務に対応していける。


英語を話せない営業は○○以下という
エグすぎる共通認識以外にも

コミュニケーション能力
柔軟性のある行動力
判断力、洞察力


それらを完璧に兼ね備えたスーパーエリートが
蓮さん以外にもう1人存在する。



「だいたい真っ先に蓮に行くって、順番違ぇっつーの」


成功と昇進の為に必要なのは ‟ 情熱 ” です、と
就職面接時に言った言葉は、逆にいらないことだと思えてしまったのは

口調の悪い、この人の影響だと言わざるを得ない。


「いいかげん二股やめて、腹くくれよ」


さっきまで不在だった、斜め前の席から吹っ掛けられた声。

山積みされた書類の間から、ダークブラウンの髪が見えて


── ‟ 交渉力 ” の鈴木蓮なら
この人の最大の武器は、ズバ抜けた　‟ 折衝力 ” ──



「お前は俺のチームだろ、タカ」



もしかしたら、最近のNo.1は
カリスマ的な存在感を放つ瀬名さんに、交代したのかもしれない


蓮さんの同期、瀬名葵が俺を見て口角を上げた。