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第11章 後遺症

「……お母さんだけのせいじゃない」

「……！」

「自分から変わろうとしなかったのは、私が弱くて
その勇気がなかったから」


いつか何かが変わるって
どこかで誰かに変えてもらえるはずって

そんな漠然とした期待を胸に、生きてきたけど


……そうじゃないんだ。

気持ちを強く持って

自分の足で進まなきゃ意味がない。



「その一歩を踏み出すきっかけをくれたのが、秋なの」

「……」

「これからは、自分の進みたい道を探すから
……私自身が信じる人生を歩みます」


客観的に見たら
ちっぽけで、簡単で

だけど私にとっては
人よりも何倍も勇気のいることだった。





「……そう」


たった一言
消えそうな声で息を吐いた母が、一歩下がった。


「……っ　お母さ…」


何も言わずに出口に向かって歩き始めた、その後ろ姿を
思わず追いかけようとしたけど

……グッと胸を押さえて、堪えた。


「お母さん、気をつけてね」
「……」
「いつかまた……連絡するから」



振り向かず、答えない母が見えなくなって

……こんなにもあっさりと終わるものなのかと
正直、ぽっかりと穴があいたような不思議な気分になる。