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アンケートから生まれた Love story
第12章 痛みを、強さに
─── 真夏の太陽、雲ひとつない青空
羽田から離陸した飛行機が遠くに見える。
都心の景色が一望できる、総合病院の屋上
胸の高さ程の金網のフェンス前に、瀬名さんと並んで立った。
「……帰国した足で、そのまま来てくれたんですか」
屋外とはいえ、区分けされたエリア内でなければ
第一種施設の医療機関では、外来の喫煙は認められていない。
……最初から知っていたであろう証拠に
一服付き合えと言った瀬名さんの
シャツのポケットにも、フェンスに寄りかかる手にも煙草は無かった。
「俺なんかの為に、マジですみません…」
「流石に入院はしたことねぇから、知らなかった」
「……!」
「悪くねぇじゃん、此処」
……後ろに流した髪が揺れて
フェンスに腕を乗せて
悪くないと言った瀬名さんが、風を感じるように目を閉じる。
「……」
……本気で雰囲気違うな、この人。
他人を寄せ付けない、全身を鋭利なもので覆っているような
俺ですら近付くことを躊躇するオーラがあったのに
今は落ち着くくらい、柔らかい何かに包まれてるみたいに感じる。