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アンケートから生まれた Love story
第12章 痛みを、強さに
「……情けないです、マジで」
拳をぐっと握って、手摺に額を付ける。
「変われないって分かってたのに、結局……
結局迷惑をかけただけだ」
……しえりさんだけじゃない。
1番尊敬している身近な人の、笑顔さえ奪ってしまっている。
こうなる前に、ちゃんと自分でケリをつけるべきだった。
優しい蓮さんに寄り掛かる前に
さっさと退職届を出して身を引くのが、俺が唯一できることだったんだ。
「瀬名さん、俺は…」
「タカ」
瀬名さんが俺の言葉を遮った。
「不幸に不幸な話を重ねたところで
なんの慰めにもならねぇことは、俺自身がよく分かってる」
「……!」
「だけどお前にひとつ
ある男の秘密を話してやるよ」
……秘密?
ある男って……
「今日はお互い家に帰るだけだし暇だろ。
童話だと思って気楽に聞いとけ」
手摺に寄りかかって、瀬名さんが意味深に笑った。