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アンケートから生まれた Love story
第12章 痛みを、強さに
「だけどな、タカ。
この陰気な物語は、ここにきて突然つまらなくなる」
「……!」
「捻くれた主人公が、思いもよらない ‟ 転 ” の糸口を見つけたせいでな」
さっきまでの切なさは、まるで無かったことのように
急に語り口調を変えた瀬名さんが、そう言って口角を上げた。
……つまらなくなる?
転の糸口?
てゆーか、それなら
「起承転結の転は、本来盛り上がる場面ですよ」
「あぁ、残念だが視聴者のお前は急激に下がる」
「……事件でいうなら事実上のクライマックスなのに?」
「はは、そういう意味では間違いねぇな」
……拍子抜けするくらいに
珍しく白い歯を見せて笑う瀬名さんは、もう普通に楽しそうだ。
「キッカケは……そうだな。
終いには俺に養子縁組を持ちかけてきやがった、娘4人を作った父親」
「……!」
「平家に住むそいつの家族と、同じ食卓に招かれた時。
あれが最初だ」
……養子縁組?
平家に住む家族?
「形だけの親戚達ですら、軽蔑や警戒の目を浴びせてきてたから。
……他人に囲まれて温かい飯を食いながら
麻痺していた “ 喜 ” の感覚が、完全に失われていなかったことに気付けた。
今になってそう思える」