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アンケートから生まれた Love story
第12章 痛みを、強さに
……瀬名さんの話し方は、穏やかで
懐かしそうに話すその表情に、優しさが見え隠れする。
「就職して社会人になった俺は
息を呑んで見惚れるくらい、圧倒的なオーラを放つ同期と出会った」
「……!」
「……その戦友の結婚式で
密かに抱いた夢を諦めねぇとまで、思えるようになったんだ」
2年前の蓮さんの結婚式は、海外遠征中で出席できなかったけど
同僚達が興奮しながら話してくれたそれぞれのエピソードに、俺も心が躍ったのを覚えている。
……瀬名さんも、そこで何かが変わったのか……
「いや、そううまくはいかねぇよ」
心の声が聞こえたとでもいうように、瀬名さんが否定する。
「タカ、お前の同期の生き残りは何人だ?」
「……!」
「俺は蓮の他に、本部には10人も居ない。
日本最大最強とだけあって
どんな秀才でも、心か体のどちらかが壊れたら終わりだ」
「……」
「出生に特別な秘密があったところで、所詮は人間で労働者。
激務からは逃れられねぇし、疲労は消えない」