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アンケートから生まれた Love story
第12章 痛みを、強さに
……胸が、震える。
誰かに心を繋げてもらったことは、初めてで
何かが込み上げてきて言葉に出来ない。
「失踪後死んだことにした育ての親ではなく
顔も知らない本当の母親が、幻覚に出てくるまでになって」
「……っ」
「……蓮の言った通り、限界が近かったんだろうな」
自分の手のひらを見つめて、小さく瀬名さんが呟いた。
「それでもいい、いつか壊れたとしてもどうせ独りだ。
ヤサグレていた学生時代よりはマシだし、秘めた想いだけは本物だから。
……そうやって日々をやり過ごしていた俺に、突然奇跡が訪れた」
「……!」
「片想いをし続けていた女が、俺を好きだと言ったんだ。
その瞬間に世界が変わった」
瀬名さんの表情がまた柔らかくなっていく。
「嘘だと思うだろ?
前半が霞む程、こんなつまんねぇオチは無い」
「……っ」
「相手はただの幼馴染で、生意気で高飛車な4姉妹の末っ子。
どこに惚れたかも、正直明確な理由が無いんだ。
だけど彼女が……俺の過去を知らない蘭が
クルーズ船の上で伝えてくれた言葉に、全てが救われた」
1番の優しい顔で、瀬名さんが微笑んだ。
「 ‟ 一緒に居ることに意味がある ” 」
「……っ」
「 ‟ 独りじゃないって証明してみせる。
この先何年かかったとしても、絶対に ” 」