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アンケートから生まれた Love story
第12章 痛みを、強さに
── 瀬名さんの彼女の話なのに
どうしてだろう
頭の中に、しえりさんの言葉が浮かび上がってくる
‟ 体を、大事にしてね ”
‟ やっぱり私、あの日からずっと逢いたかった ”
‟ 凄く大きな勇気をくれてありがとう、秋 ”
「……っ」
たったそれだけ、何気ない一言なのに
もう会わないって決めたばかりなのに
どうしてこんなにも、彼女の笑顔で溢れてしまうんだろう ──
「……関わるなと言った、最初の俺の勘は外れたな」
言葉にしていないのに
顔を伏せた俺を横目で見ながら、瀬名さんが笑った。
「彼女が寄り添ってくれるようになってから
当たり前にある自分を取り巻く環境や感情、ふとした会話。
こんなにもかけがえのないものだったと気付いた」
「……!」
「蘭も、蓮も、その仲間たちに出会えたことも
タカ、お前の存在も」
「……っ」
「……今は毎日、大事に噛みしめている」
風が舞って、体を通り抜けていく。
1歩近付いた瀬名さんが、俺と正面から向き合った。