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アンケートから生まれた Love story
第12章 痛みを、強さに
── どのくらいそうしていたか、分からない
放心状態の俺は
瀬名さんの肩に寄りかかったまま、しばらく動けなかった。
それでも
胸の鼓動は、一定のリズムで刻んでいて
今までとは違うなにかが、全身に広がっていくのを感じる。
「……!」
頭を起こした俺に気付いて、瀬名さんが体を離す。
涙を拭った手で、右ポケットに入れてあった白い封筒を取り出した。
……倒れて運ばれた翌日、入院が決まって
必要な着替えなんかを取りに一度帰った時、一緒に持ってきていたんだ。
「いいんじゃねーの」
俺の手元を見ながら、フェンスに寄りかかった瀬名さん。
「てめぇの人生だ、好きな時に辞めたらいい。
俺は蓮と違って会社やチームのことまで考えねぇし、なんの問題もない」
「……」
「20代っていう若さの肩書きと
7年間で培ったプラチナの履歴書を引っ提げれば、次の職場なんて秒で見つかるからな」