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アンケートから生まれた Love story
第12章 痛みを、強さに
握りしめた退職届。
日付を新たに記入して
夏季休暇明けの朝一、出社するその足で蓮さんに渡す予定だった。
……だけど
「だけどな」
心の中で呟いた言葉と、瀬名さんの声が重なる。
「代わりはいない」
「……!」
「組織からすれば、後任の駒はいくらでもいるけど
俺にとって、お前の代わりは誰も見つからない」
「……っ」
「……タカ。 お前しかいねぇんだよ」
俺を見ずに、その目は眼下に広がる景色に向けられているけど
最後の言葉が胸の奥に差し込まれて、熱さがまた溢れてくる。
“ 帰ったなら挨拶しろよボケ ”
“ 仕入先と取引先のトレーディング。以上。
只でさえ激務なんだからこれ以上面倒なことに足突っ込むな ”
“ てめぇら仕事しろ! ”
……口調が乱暴で、態度も悪くて
自ら冷酷だって主張するけど
瀬名さん、俺はもう充分分かってる。
“ お前の存在も
毎日、大事に噛みしめている ”
“ 忘れるな、絶対に。
忘れそうになったら何度でも、蓮と俺が証明してやるから ”
「……っ」
“ お前は俺のチームだろ、タカ ”
……似てないって、どんなに否定しても無駄だよ。
こんなにかっこよくて、強くて優しい人は
蓮さんの他に、世界中を探してもあなたしかいないんだ。