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アンケートから生まれた Love story
第12章 痛みを、強さに
「……社内のデスクと
フライトの席、また作ってくれますか」
「……!」
「もう一度」
── 届くだろうか
もう一度、強くなるために
「引継ぎした海外顧客、戻してもらって
また俺が担当してもいいですか」
追いつけるだろうか
生まれ変われる、やり直せると言ってくれた
憧れと尊敬が溢れる背中に
「……またどこかで倒れるかもしれない。
リハビリに時間がかかるかもしれない、けど…」
「……」
「……っ 俺は……」
不完全で不格好でも
みっともなくても
高い壁を超えて
過去を克服できるようになったら
その時は
「……瀬名さんと同じ景色が見たい」
「……っ」
「大切な人を守れると
胸を張って言えるようになりたいです」
ありのままの想い、願いを
震える声で伝えた自分の頬に、また一筋の涙が流れた。
……泣き虫と呼ばれても、もう何の反論もできねぇな……
「……アホかお前は」
少しの沈黙のあと、小さな溜息が聞こえて
「席を作るも何も、初めから無くしてない」
「……!」
「中継ぎされた顧客は皆、お前を望んでる。
高野秋を待っているんだ」
「……っ」
「だから
俺と蓮の分も足して、3倍にして返してやるよ」
手摺に肘をつけて、満足そうに
太陽のような笑顔で瀬名さんが笑った。