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アンケートから生まれた Love story
第3章 問答無用で引き受けろ
* * *
数階に分かれていくつも存在する、大小さまざまなラウンジ。
その中で1番上にある、喫煙所併設の休憩スペースに向かった。
月曜の朝とあって、誰もいない。
ガラス窓の向こうには、系列のビル群と
初夏の澄み渡った青空が広がる。
「── 結婚詐欺で、金を盗まれた被害者?」
窓際に並ぶ、ボックス型のソファ席。
缶コーヒーを飲みながら、向かいに座った蓮さんが俺の言葉を繰り返した。
「なんでそんなこと分かったの?」
「通帳を手に自ら話していたんです。
空中に向けた独り言」
「……え、大丈夫?」
「最初は無視してたんですけど…」
‟ だまされた ”
‟ 結婚詐欺 ”
‟ 今回も冷静なのね、私 ”
……パワーワードが次から次へと出てきて、流石に気になった。
だとしても、自分にはまるで関係の無い話。
不幸の真っ只中であろう赤の他人にかかわる必要も時間も無い。
……テラス席の横並び、1mほど空いたスペース。
境界線を先に越えてきたのは、その女だった。