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アンケートから生まれた Love story
第13章 逢いたい
* * *
8月の最終日。
明日から月が変わるこの時期でも、まだ残暑は厳しくて
それでも、夜9時になった今の時間ともなれば
夜風が体を吹き抜けていって、幾分かの心地よさは感じられた。
「……凄い迫力」
日本最大の総合商社。
系列ビル群の中でも、一際目立つ本社オフィス。
メインエントランスの手前に立って
各階から蛍光灯が漏れる、高層ビルを下から見上げると
彼らがいかにハイレベルであるかが、全身に痛いほど伝わってくる。
……胸が苦しい。
キュンとするとか、甘いとか今回はそんなんじゃない。
本来の意味そのまま、恐怖すら感じるほどにキリキリと痛い。
気持ちを落ち着かせる為に、石膏で出来たモニュメントに寄り掛かったけど
それでも胸の動悸が激しい理由は
「……私、一歩間違ったらストーカー……?」
約束をしていないのに、身を潜めて隠れている
……そう、つまり
アラサー後半の私は今
秋が会社から出てくるのを待ち伏せしているのだ。